《週刊》ネット上の情報検証まとめ(Vol.42)【大船怜】


インターネット上で話題になった“要注意”情報を、週1回まとめてお届けします。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。(大船怜ネット上の情報検証まとめ管理人)


(1)「東京都PCR検査人数の推移(画像)」

日付
7/16
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
7.7万RT
内容
「東京都PCR検査人数と感染者数の推移」と題したグラフの投稿。
引用
※アカウント名等モザイク処理は筆者による(以下同様)

【検証】4月のデータに保険適用検査は含まれず、要注意

投稿ではグラフの内容について詳しく言及されていないが、あたかもPCR検査数が5月頃に急増したかのように読み取れるものになっている。現に、同じグラフの画像を用いて、エッセイストの竹内久美子氏は「これ見たら、検査数に対する陽性者数の少なさが一目瞭然。『過去最高の』に騙されるな!」と主張している

既にこの連載の過去の回では同様の言説を検証している。東京都のPCR検査数が5月7日頃に急増したように見えるが、5月7日分以前のデータは保険適用検査を含んでいないデータだった。検査数が増えつつあるのは事実だが、データの基準が変更されているため、4月頃と単純比較できない。

参考までに、採取日基準データ(1人が複数回カウントされる場合あり)では4月の検査数は1日1000件台となっている。


(2)「GoToキャンペーン 埼玉・千葉の隣接市も除外」

日付
7/16
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
4800RT
内容
「【16日 時事】政府は『#GoToキャンペーン』の見直しについて、既に検討している東京の除外に加え、隣接する埼玉県の川口市、戸田市、さいたま市、和光市と、千葉県の松戸市、流山市、木更津市、船橋市も除外する方針を固めた。」とする投稿。

【検証】報道は実在しない

投稿はあたかも時事通信の報道を転載したかのような形式で書かれているが、実際にはそのような報道の存在は確認できておらず、全くの創作と考えられる。「GoToキャンペーン」が開始された7月22日現在、東京都以外は除外対象とされていない。

なお、上に挙げられている市のうち、さいたま市・流山市・木更津市・船橋市は東京都と隣接していない。


(3)「農薬で腫瘍だらけになった鹿(画像)」

日付
7/19
発信者
一般ユーザー
媒体
Twitter
拡散数
1200RT
内容
「モンサント社のラウンドアップが散布された草木を食べて腫瘍だらけになった鹿。」などとする、画像付きの投稿。
引用

【検証】農薬ではなくウイルス感染症

投稿では、全身に多数の大きな腫瘍が見られるショッキングな鹿の姿の画像とともに、特定の農薬(除草剤)の商品名が原因として名指しされている。

ファクトチェックメディアのPolitiFactAFP通信が専門家に取材したところによれば、この症状は線維腫(フィブローマ)と呼ばれる良性の腫瘍であるという。線維腫は野生の鹿に広く見られるウイルスが原因の症状で、虫による媒介や外傷などで感染する。農薬被害とは無関係だ。また、見た目の壮絶さに反し回復は早く、多くの場合2か月程度で自然に治るという。

2019年にはアメリカで線維腫を患った鹿が実際に目撃され話題になった。この時の様子や専門家のコメントは日本でもTechinsightで紹介されている。


その他

FIJ(ファクトチェック・イニシアティブ)では新型コロナウイルスに関する情報の検証結果などをまとめた特設サイトを開設。国内外の真偽に疑義のある情報を紹介し、随時更新している。

また過去のまとめでも、新型コロナウイルス関連の様々な誤情報についても検証を紹介している。

 

(この記事はINFACT(運営:NPOニュースのタネ)からの転載です。過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年7月29日の予定です)

 

著者紹介

大船 怜(Ofuna Rei)

NPOメディア「INFACT(運営:ニュースのタネ)」編集委員
1986年千葉県出身。2011年3月東日本大震災をきっかけにネットの誤情報等の検証・注意喚起を行うTwitterアカウントを開設。現在派遣社員として一般企業に勤めながら「ネット上の情報検証まとめ」(@jishin_dema)を運営している。大船怜はペンネーム。