インターネット上で話題になった“要注意”情報を週1回まとめてお届けするシリーズですが、今回は年末特別号です。紹介するのは、他のメディアなど第三者が調査・検証したものも含みます。
年末に紹介する“要注意”情報
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(1)「朝日『辺野古サンゴ傷つけた罪は重い。万死に値する』と書いた」
日付
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12/17 |
発信者
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加藤清隆(政治評論家) |
媒体
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拡散数
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3300RT | |
引用
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【検証】「万死に値する」は5ちゃんねるのスレッドタイトル
朝日新聞は12月15日の社説で、辺野古の海への土砂投入について言及。しかしながら「サンゴを傷つけた罪は重い。万死に値する」との記述はない。
問題の記述はインターネット掲示板「5ちゃんねる」のユーザーが勝手につけたタイトルのもの。掲示板から参照されている記事は上述の社説であり、「万死に値する」は誤りだ。BuzzFeedの検証記事も参照。
(2)「プレステ5の発売日と価格が決定」
日付
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12/16 |
発信者
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匿名 |
媒体
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ブログ |
拡散数
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Twitterトレンド入り |
内容
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「プレイステーション5の発売日と価格が決定した」というブログ記事が公開され、Twitterを中心に拡散した。 |
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引用
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【検証】SIEが「フェイク」と否定
筆者が12月16日、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)の広報部に真偽の確認を取ったところ、「弊社からは10月8日に出しましたリリースやブログ記事以外の情報は出しておりません」との回答を得た。
J-CASTニュースも「発売日とか価格は私どもから発表していません」とのコメントを、ITmedia NEWSも「ブログの内容は完全にフェイク」とのコメントを得ている(いずれも12月16日の記事)。12月27日現在、プレステの公式サイトに、プレステ5の情報は発表されていない。
問題のブログにはほかにも複数のデマ記事があることを確認できている。
(3)「日本政府が“1km5円”の走行税を検討」
日付
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12/21 |
発信者
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一般ユーザー |
媒体
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拡散数
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2.2万リツイート | |
内容
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日本政府が1km5円の走行税を検討している。「物流コストが上がり、倒産や失業が相次ぐ。移動手段が車しかない地方は死ねと言うことか」と「ANNnews」のニュース動画を転載したうえで嘆く。 |
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引用
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【検証】走行税は検討対象。「1km5円」は出どころ不明の情報
政府が走行距離で課税を検討していることは、政府の税制改正大綱に関連する検討資料などから事実といえる(2018年11月28日のテレビ朝日ニュースも参照)。
しかしながら「1km5円」は出どころ不明の情報であり、財務省担当者はBuzzFeedの取材に対し、走行税含め、今後の税がどのような形となるのかについて「個別にお話できる段階では全くない」と回答している。
「1kmごとに5円」の情報は以前にも流れており、BLOGOS しらべる部は、走行税を導入しているニュージーランドの課税制度からだと推測している。
(4)「北朝鮮が14歳の中学生を含む17人に死刑」
日付
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12/23 |
発信者
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Share News Japan |
媒体
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ブログ・Twitter |
拡散数
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8700リツイート |
内容
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北朝鮮が韓流ドラマを見た14歳の中学生を含む17人に死刑判決を下したとの記事を公開。それをツイートで拡散 |
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引用
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【検証】元ネタ記事に「中学生に死刑」の記述なし 死刑は別の事件
Share News Japanは「14歳の中学生を含む17人に死刑判決」と書いているが、引用された記事(デイリーNKジャパン)を見ると誤読だとわかる。
同記事によると、死刑判決は2018年12月に首都・平壌市の郊外で行われた公開裁判にて、「『外部映像物販売』の容疑者」に下された。この事件とは別に、14歳の中学生を含む17人が2019年2月3日に両江道で行われた大規模な住民暴露会で吊るし上げられたとも記されているが、14歳の中学生らに「死刑判決が下された」との記述はない。
(5)「NHKはミサイル誤報を全く謝罪していない」
日付
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12/27 |
発信者
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和田政宗(参議院議員) |
媒体
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拡散数
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3900リツイート | |
内容
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NHKが北朝鮮のミサイル落下の誤報について、「大変失礼しました」と訂正はしたが全く謝罪していないとツイート |
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引用
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【検証】指摘直前の放送で「おわび」はなかったが、頭を下げるシーンあり
NHKは、12月27日午前0時22分ごろ、インターネットで「北朝鮮のミサイル 海に落下と推定 北海道襟裳岬の東約2000キロ」と誤って速報で配信した。和田議員はこの誤報から間もない午前1時ごろにTwitterに投稿しており、その直前の0時49分にNHK総合で放送された約1分間の番組について「全く謝罪していない」と指摘したとみられる。
たしかに、この時点の放送では、ネット上の速報は誤配信だったと伝えた際に「おわび」の表現はなかったが、「大変失礼しました」の言葉とともにニュースキャスターが頭を下げる場面が2度あった。これを「謝罪」と受け取るかは解釈が分かれる可能性があるが、和田議員はTwitter投稿でこのシーンに触れていなかった。
その後、NHKは2時28分に誤配信についてのおわび(※キャッシュ)をサイトに掲載し、「視聴者・国民の皆さまに、おわびいたします」と謝罪。また、同日4時30分放送の「おはよう日本」の冒頭でも「視聴者、国民の皆様にお詫びいたします」と深く頭を下げ、謝罪した。
(この記事はニュースのタネからの転載です。過去の回をまとめて見たい方はこちらから。次回は、2020年1月8日の予定です)
篠原 修司(Shinohara Shuji)
NPOメディア「ニュースのタネ」編集委員
1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライター・ITジャーナリストとして活動中。Yahoo!ニュース個人にも寄稿している。