参院選ファクトチェックを振り返る意見交換会を開催しました(8月10日)

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写真:田島輔 FIJ理事による報告

 ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)とスローニュース株式会社は8月10日、『参院選ファクトチェックを振り返る意見交換会』を共同開催しました。
 FIJの支援対象メディアのほか、各種メディアの関係者や研究者、企業関係者など約40名の方々(オンライン参加も含む)にご参加いただきました。

 参加者からは、「読者からファクトチェックの取り組みを評価してもらった」といった成果の報告とともに、以下のような問題提起がなされました。

ファクトチェック体制の課題

・「いかに調査を尽くすか」と「いかに早く記事を出すか」の兼ね合いがむずかしい
・選挙期間という限られた時間のなかで、どう記事化するか決めきれず取り上げられなかった言説もある
・TikTokなど動画上の偽・誤情報をチェックする方法が確立できていない
・大手メディアは選挙期間が終わるとファクトチェックをほとんどやらなくなってしまう

ファクトチェックを読者に届けるうえでの課題

・テキストではなく動画をおもに見る層にファクトチェックを届ける取り組みが不十分
・ウェブ検索やチャットAIの出力結果にファクトチェックを反映させることが重要
・ファクトチェックにより逆に偽・誤情報が拡散してしまうという問題。検証対象の言説自体ではなく事実のほうの認知度を高める工夫が必要

非党派性と透明性をどう確保するか

・指摘を受ける立場の人々にもファクトチェック記事を読んでもらうためにどうするか
・出典を明記することの重要性
・政党による「ファクトチェック」活動が、一般的なファクトチェックに対する誤解を生みかねないという懸念

 FIJに対しては「次の衆院選に向けて支援策を策定し、早めにアナウンスしてほしい」「ファクトチェックの課題についても意見交換する機会をつくってほしい」「FIJは非党派的に、様々な言説を確認できる場であってほしい」「TikTokなど若者が多く利用するSNSのチェックをどうサポートできるか考えてほしい」などの意見が寄せられました。

 FIJはいただいたご意見を次に生かすとともに、今後もこのようなセミナー・勉強会を開催し、ファクトチェックの現場を支えていきます。