Global Fact 10 ソウルで6月開催へ【ファクトチェック通信】


(この記事は、FIJの無料メールマガジン「ファクトチェック通信」3月29日号を再編集したものです。メールマガジンのご登録はこちらから)

▼世界ファクトチェック会議、6月28日からソウルで開催

第10回世界ファクトチェック会議「Global Fact 10」(IFCN主催)が6月28日から韓国・ソウルで開催されます。アジア初開催となり、参加申込みの受付が行われています(現地参加は5月1日しめきり)。

同会議は毎年開催され、世界各国のファクトチェック団体の関係者、研究者、関連する事業者が一同に会して、ファクトチェックや偽情報対策に関するさまざまなアジェンダが議論されています(これまでのGlobal Factに関するFIJの記事)。

▼ファクトチェックアワード作品募集開始

FIJは3月20日、特に優れていて社会的意義が高いと認められるファクトチェック作品を表彰する「ファクトチェックアワード2023」の特設サイトを設置し、作品募集を始めました。

自薦・他薦ともに可で、4月20日まで受け付けています。選考委員会(松田美佐委員長)による審査を経て、受賞作を6月中に発表する予定です。

▼SMAJ 偽情報対策の行動規範を検討

一般社団法人ソーシャルメディア利用環境整備機構(SMAJ、代表理事:宍戸常寿東大教授/曽我部真裕京大教授)が偽情報対策に関する行動規範の策定を検討していることがわかりました。

3月9日、総務省のプラットフォームサービスに関する研究会(PF研)で報告されました。昨年ワーキンググループを設置し、「誹謗中傷」「偽情報・フェイクニュース」を対象に、行動規範に同意した加盟企業が自主的取組について報告・評価・公表を行うルールを定める方向で検討されていますが、詳細はまだ明らかになっていません。SMAJは2020年、SNS上の課題を解決するため、LINE株式会社など業界各社が共同して設立。現在、26社が加盟しています。

EUでは2022年6月、「偽情報に関する行動規範」(Code of Practice on Disinformation)の最新版が策定されています(参考記事)。同規範にはファクトチェックコミュニティの強化も盛り込まれ、多くのプラットフォーム事業者が署名しています。

同日のPF研では、このほか、山口真一国際大准教授がファクトチェック推進を含む偽・誤情報対策の現状と対策について報告したほか、FIJを含む関連企業・団体による取組集(案)も公表されました。

▼Twitterユーザー相互のファクトチェック本格化へ

Twitterが3月22日、投稿内容の正確性などについて注釈したノートを表示させる機能「Community Notes」の日本語版参加者の募集を開始しました。同社は昨年12月、この機能を全世界に拡大すると発表し、英語圏以外への拡大に乗り出していました。

この機能は、Twittterに承認されたコミュニティ参加者が誤解を与える恐れのあるツイートに注釈ノートを投稿し、他のユーザーがそれに高評価を与えると、当該ツイートとともにそのノートが全ユーザーに公開される仕組み。コミュニティ参加者には独自のコードネームが付与され、どのユーザーがノートを投稿したかは一般にはわからないようになっており、Twitter社は「人々が安心して党派の垣根を越えたり、同調圧力や報復を恐れずに自身の陣営を批判したりできるようになることで、分極化が緩和される可能性がある」と説明しています。

日本語版の運用開始後、ファクトチェック団体の検証記事を引用したノートが他のユーザーから「役に立った」と評価を受け、公開された事例も確認されました。ただ、現段階では、ノートの公開範囲は小規模なテストグループ内とのことで、本格運用はこれからとみられます。

Community Notes日本語版の事例

▼ファクトチェック団体が引き続きスタッフ募集

ファクトチェック専門団体のリトマス(大谷友也編集長)は3月、副編集長候補の募集について改めて 告知しました。

一方、日本ファクトチェックセンター(JFC、古田大輔編集長)は、副編集長に宮本聖二氏(立教大学大学院特任教授)が着任したことを公表しました。エディターやインターンを引き続き募集しているとのことです。

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ファクトチェック・ナビでは「ファクトチェック一覧」「誤情報関連ニュースリンク集」を随時更新しています。ぜひご覧ください。

FIJニュース

●活動報告書(2月分)を掲載しました。
●3月末をもって楊井人文事務局長が退任し(理事として引き続き在任)、4月から後任に平林克英(現・事務局次長)が着任します。