設立趣意書


ファクトチェック・イニシアティブ 設立趣意書

 近年、人々をとりまくニュースや情報の環境は大きく変化しています。インターネット上に新しいニュースメディアや個人の書き手が次々と現れ、SNSなどのテクノロジーメディアの普及も相まって影響力を増しつつあります。一方で、デマや真偽不明の情報が拡散することへの懸念も高まっています。もっとも、新聞やテレビなど従来のメディアにも事実と異なる報道が散見され、透明性をもって是正する取組みが十分になされてきたとは言えません。こうした課題にメディアやジャーナリズムはどう応えていくのか、その存在意義や役割が問われています。

 私たちは、メディアやジャーナリズムに携わる人々が、社会に影響を与える様々な報道・言説のファクトチェック(真偽検証)に真剣に取り組むべきときに来ていると考えます。すでに海外では、メディアとプラットフォーム事業者が協働して問題に対処する取組みも始まっています。他方、わが国では一部に取組みはあるもののごく限定的であり、本格的に担うだけの組織やメディアも存在していません。

 私たちは、事実と異なる言説・情報に惑わされ、分断や拒絶が深まるような社会を望んでいません。そうならないためにも、ファクトチェックをジャーナリズムの重要な役割の一つと位置づけて推進し、社会に誤った情報が拡がるのを防ぐ仕組みを作っていく必要があると考えました。

 もちろん、ファクトチェックも言論の枠内で行われるものであり、特定の言説・情報に対する検閲や排除を志向するものであってはなりません。ファクトチェックに基づく言説自体が他者からの再検証や批判に耐えうるものでなければならないことは当然であり、真実の最終裁定は言論社会に生きる人々に委ねられています。私たちが志向するのは、人々が正確な事実認識を共有できるよう、判断材料を提供することです。こうした真偽を検証する活動の量的・質的な向上が、誤った情報に対する人々や社会の免疫力を高め、ひいては言論の自由を守り、民主主義を強くすることにつながると信じます。

 私たちは、こうした問題意識を共有する個人や関連団体がそれぞれの垣根を越えて協働し、ファクトチェックの実践を広げていくための取組みを開始することを決意し、ファクトチェック・イニシアティブ(FactCheck Initiative Japan、略称「FIJ」)を立ち上げることと致しました。

(2017年6月21日)

(沿革はこちら