総務省が公募していた「インターネット上の偽・誤情報対策技術の開発・実証事業」の採択事業6件が7月2日に公表されました。採択事業の1件は株式会社データグリッドが技術開発主体となる「多様なメディアにおける最新のディープフェイクに追従した偽・誤情報検出技術の開発・実証」です。
特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ、理事長=瀬川至朗)は、データグリッド社からの打診を受け、ファクトチェックツールとしてディープフェイク検出サービスの社会実装を目指す本開発・実証事業に、無償ボランティアの形で参画することにいたしました。ここに公表させていただきます。
FIJはファクトチェック組織ではなく、ファクトチェックを支援・推進する団体です。FIJの支援策の柱として、ソーシャルメディアなどで流通する真偽不明の情報を収集して疑義言説データベース(ClaimMonitor)に登録し、ファクトチェックに取り組むマスメディアやファクトチェック組織にその情報を日々提供しています。本実証実験においては、この疑義言説収集の過程で、ディープフェイク検出ツールをテスト利用させていただき、その結果をフィードバックできればと考えています。FIJは、本開発・実証事業の成果をもとに、今後、信頼性の高いファクトチェックツールが社会実装され、マスメディアやファクトチェック組織が広く無償で利用できるようになることを期待しています。
なお、FIJは本実証事業に無償で参画するものであり、本件にかかる費用は自己負担し、事業予算からの支給を受けるものではありません。本件が総務省所管の事業であり、ファクトチェック関連団体としては、政府からの独立性を保つことが重要だと考えている次第です。
(注)ディープフェイク(deepfake)は、生成AIを用いて作成される偽動画、偽画像、あるいはその生成技術のことを指します。