ファクトチェックアワード2024


誤・偽情報が民主主義を脅かす問題となっています。人々がそうした情報に惑わされにくい社会を築くために、ファクトチェックの推進・普及に取り組んできた当法人は、社会的関心の高い事柄に関して人々を誤解させるおそれのある情報を検証し、正確な事実の共有に貢献した作品を顕彰しその社会的意義を広めるため、2023年にこの賞を設けました。今回が2回目の開催となります。

審査・選考は、外部の視点を取り入れ公正に行うことを重視し、外部の学識経験者3名およびFIJ理事2名(ファクトチェックの実践活動に関与している理事を除く)の委員により実施しました。

(2024年7月11日発表)

参考情報
応募要項・選考基準等について
ファクトチェックアワード2023

選考結果

該当なし


(5作品、応募順)

ひろゆき氏「沖縄は親を寝たきりにして年金で暮らす」をファクトチェック【沖縄タイムス:2023年10月4日】

(授賞理由)
本作品は新聞記者によるものですが、検証の手続きが丁寧に説明されていることが注目されます。公開されている政府統計データをもとにチェックを行うことは誰にでも可能であり、そうしたファクトチェックの裾野を広げられる可能性を示した記事として評価されました。
また、言説をいくつかに分解し、直接調べられない「寝たきり高齢者」は「要介護5の認定を受けた人」に置き換えるなどの工夫がみられること、さらに、知名度の高い人物の言説を検証対象とすることはそれが事実でも誤りであっても意義は大きいと言えることから、優秀賞にふさわしいとの評価となりました。

(受賞作)
ひろゆき氏「沖縄は親を寝たきりにして年金で暮らす」をファクトチェック 【沖縄タイムス:2023年10月4日】

政治資金問題に関する記事3本【InFact:2023年12月25日〜2024年2月3日】

(授賞理由)
自民党派閥議員へのパーティー券収入キックバックに関して、マスメディアにおいても表面的でミスリーディングな報道が見られるなか、本作品は公開情報をもとに正確性の高い情報を提供し、この政治スキャンダルのどこが、なぜ問題なのかを理解する手助けになっています。
重要な問題に対して、質実剛健な検証をしているものとして高く評価されました。
政治と金の問題について言われがちな伝説に関して注意するべきポイントをシンプルに伝えており、プレバンキング(あらかじめ出回るであろう言説を予告しておくことで予防接種)的な効果も発揮しているとも評価されました。
(受賞作)
パーティー収入自体はいくら得ようとも問題無い?
「キックバック自体は問題ない」報道はミスリード
裏金問題「収支報告を訂正」報道はミスリード

【InFact:2023年12月25日〜2024年2月3日】

新型コロナ禍での感染対策に関する記事3本【InFact:2023年12月17日〜2024年3月14日】

(授賞理由)
3本の記事いずれもが、根拠となる論文や発言などにていねいに当たっており、オーソドックスなファクトチェックのアプローチとして納得感が高いと評価されました。
また、検証対象となった言説などが積み重なって、反ワクチン的陰謀論の高まりへと連鎖していったことを考えると、社会的重要性もとても高いテーマと言えるものです。
一方で、いずれのレーティングについても慎重な姿勢が見られ、その点で公正性が感じられる点も高い評価につながりました。

(受賞作)
「マスクをするほど感染しやすい」はミスリード
ファウチ博士は、「社会的距離のルールは科学的根拠ゼロ」と発言したのか?
WHO事務局長「強制していない」は「ほぼ正確」
【InFact:2023年12月17日〜2024年3月14日】

のり弁当の添加物表示ラベル画像は正確 偽造疑う指摘拡散も【リトマス:2023年7月6日】

(授賞理由)
Xの投稿とそれに付けられたコミュニティノートとの両方を検証し、どちらの主張が正しいかがわかりやすく説明されています。投稿に対するチェックをさらにチェックしたという方法論がまず評価ポイントとなりました。
氾濫する誤情報に対し、コミュニティノートのように、それらを訂正する手段が普及しはじめ、その影響力も高まっている、期待もされていると考えられる中で、そちらも安易に鵜呑みにすべきでないという事実を示した好例として、高く評価されました。

(受賞作)
のり弁当の添加物表示ラベル画像は正確 偽造疑う指摘拡散も 【リトマス:2023年7月6日】

JAL機と衝突した海上保安庁機(JA722A)がフライトレーダーに表示されない理由【ryo-a:2024年1月3日】

(授賞理由)
たいへん大きな事故について、誤情報の流布にクギを刺したことの意義は大きいものと評価されました。事故後7時間足らずで今回の記事を発表し、これをXで発信し、引用したポストも数多く見られました。
専門性が求められる領域で、一般の読者にもわかるよう丁寧に解説されていること、そしてこれを個人が行ない、検証方法の透明性が高くほかの個人でも同じように可能かもしれないといったことも重要なポイントです。
全体としてクオリティと公正性が十分に高く、かつ独創性も評価できるものです。
これだけの記事をジャーナリストが専門家に聞いて回って書こうとすると必ずしもタイムリーに書けるものではないと言えると思います。

(受賞作)
JAL機と衝突した海上保安庁機(JA722A)がフライトレーダーに表示されない理由 【ryo-a:2024年1月3日】

(1作品)

「安全基準を満たしている処理水」の「安全」は十分に開示されているのか【InFact:2023年11月2日】

 

(授賞理由)
福島原発の処理水に関する事実をまとめた記事ですが、専門性が高い情報については、報道機関でも十分な検証を行わずに政府・企業の発表をベースに報道を行っているとの指摘は注目に値します。また、公表されたデータが非常にわかりにくいことを挙げ、見やすさ、アクセスしやすさなど情報開示のあり方についても留意されるべきであるという指摘も重要です。
検証の細部について理解が難しい部分もあったとの意見も挙がりましたが、社会的に重大な関心事であり、第三者が検証する意義の大きさが評価されました。

特別賞は今回初めて設定されたものですが、言説を直接的に検証したものではない応募作品が複数あった中で、委員からもっとも高く評価された作品として、特別賞をお贈りしたいと思います。

(受賞作)
「安全基準を満たしている処理水」の「安全」は十分に開示されているのか 【InFact:2023年11月2日】

応募状況

応募総数 31件

たくさんの作品をご応募いただき、ありがとうございました。

選考委員
松田 美佐
選考委員長
中央大学教授
小笠原 盛浩
東洋大学教授
宮崎 洋子
クレアブ株式会社ディレクター
藤村 厚夫FIJ副理事長
スマートニュース(株)フェロー
乾 健太郎FIJ理事
東北大学教授