ファクトチェックとは

 

▼ファクトチェックとは?

 社会に広がっている情報・ニュースや言説が、事実に基づいているかどうかを調べて、正確な情報を人々と共有する、とてもシンプルな営みです。一言でいえば、言説・情報の「真偽検証」のことです。

 FIJのファクトチェック・ガイドラインでは、次のように定義しています。

公開された言説のうち、客観的に検証可能な事実について言及した事項に限定して真実性・正確性を検証し、その結果を発表する営み (第2 目的・定義

 

▼何をファクトチェックするのですか?

 世の中に影響を与える言説や情報のうち、真偽が定かでないものや正確さに疑いがあるものが、ファクトチェックの対象となります。ニュース記事、インターネット上の情報はもとより、政治家や有識者など社会的影響力をもった人物の言説も対象となります。(『ファクトチェックとは何か』(岩波ブックレット)第1章参照)

 

 

▼ファクトチェック記事とは?

 ファクトチェックという営みは、欧米を中心に世界各国で行われており、基本的に次の3つの要素から成り立っています。この3つの特徴を備え、一般の読者にわかりやすく記事化したものを「ファクトチェック記事」といいます。

 ① 対象言説の特定・選択
 …ファクトチェックの対象とすべき言説・情報を選び出す作業です。原則として、公開の場で発せられた言説であり、第三者が確認できるものが対象となり、ファクトチェック記事の冒頭で明示するのが一般的です。
 ② 事実や証拠(エビデンス)の調査
 …その言説の真偽を検証するために必要な事実関係の調査・取材を行います。単に証言ではなく、第三者が確認できる証拠を見つけ出し、ファクトチェック記事で提示することが重要です。
 ③ 対象言説の真偽・正確性についての判定
 …事実調査の結果を踏まえて、対象言説について「正確」か「不正確」か、「ミスリード」か、といった判定を行うことになります。
 FIJでは、この3つの特徴を備えたファクトチェック記事を発表する際のガイドラインを定めています。
 

▼事実と意見の区別

 ファクトチェックは、あくまで「事実」についての検証に限定した営みですから、事実(ファクト, fact)と意見(オピニオン, opinion)の区別が極めて重要になります。

 事実とは、何らかの証拠によって検証、確認が可能な事柄をいいます。

 次の文章を見てみましょう。『理科系の作文技術』(木下是雄、中公新書)で用いられている例です。

  (1) ジョージ・ワシントンは米国の最も偉大な大統領であった。
  (2) ジョージ・ワシントンは米国の初代の大統領であった。
 (2)は、実際に初代の大統領であったかどうかを資料で確認できるので、事実を述べた言説(事実言明)と言えます。

 これに対して、(1)は、「最も偉大な」大統領かどうかはその人の意見、主張であって、立場によって見方が分かれる問題ですので、意見を述べた言説(意見表明)と言えます。(ただし、「ジョージ・ワシントンは米国の大統領であった」という部分に限定すれば、事実言明になります。)

 このように、ファクトチェックを行うときは、まずその言説が「事実言明」か「意見表明」かを見極めることが必要です。

 ファクトチェックの対象となるのは、原則として「事実言明」です。立場によって見方が分かれる意見・評価・論評などは基本的に対象外です。仮に取り上げるとしても、当該言説が前提としている事実の部分が検証の対象となります。

 

▼ファクトチェックの方法は?

 ファクトチェックは、原則として調査によって収集・入手できる証拠(公開情報や文書など物的、客観的証拠)に基づいて、実際に検証できる「事実言明」を扱うことが一般的です。情報公開請求などによって入手した証拠も、ファクトチェックで使うことができます。

 ニュース報道などでは、匿名の情報源に依拠することが少なくありませんが、ファクトチェックはあくまで第三者により確認可能な証拠に基づく検証が原則ですので、匿名の情報源を用いることは非常に例外的と言えます。

 

▼ファクトチェックの公正さは?

 ファクトチェックを行う人は、予断をもたずに、公平に、事実かどうかの検証に徹することが求められます。自分の意見や感情、主張などをいったん脇に置いておく必要があります。特定の主義・主張や党派・集団等を擁護、あるいは批判する目的の道具として、ファクトチェックを行うべきではありません。

 これは、国際標準のファクトチェック原則においても最も重要な考え方です。詳しくは、以下の参考文献とIFCNファクトチェック綱領をご参照ください。