ファクトチェックのガイドライン

 FIJは、良質で信頼されるファクトチェック活動を推進するため、FIJのプロジェクトに適用するガイドラインを策定しました。


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ファクトチェック・ガイドライン

2018年9月6日
NPO法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)

 
第1 趣旨
 本ガイドラインは、良質で信頼されるファクトチェックのために、国際ファクトチェックネットワークの綱領の趣旨を踏まえて、ファクトチェック記事の作成・発表に関する事項を定めるものとします。このガイドラインはFIJのプロジェクトに適用するためのものです。
 
(注)国際ファクトチェックネットワークの綱領とは、International Fact-Checking Network(IFCN)のCode of Principlesを指します。試訳はこちら
 
第2 目的・定義
 1 本ガイドラインにおいて「ファクトチェック」とは、公開された言説のうち、客観的に検証可能な事実について言及した事項に限定して真実性・正確性を検証し、その結果を発表する営みを指すものとします。
 
 2 本ガイドラインにおいて「ファクトチェック」は、特定の主義主張や党派・集団等に対する擁護や批判を目的とせず、公正な基準と証拠に基づいて、事実に関する真実性・正確性の検証に徹するものとします。
 
 3 ファクトチェックで検証の対象とした言説を「対象言説」と呼ぶことにします。
 
 4 以上の定義に基づきファクトチェックの結果を発表したもので、次の3つの要素を含むものを「ファクトチェック記事」と呼ぶことにします。
  ①対象言説の特定
  ②対象言説の真偽・正確性の判定
  ③判定の理由や根拠情報
 
第3 ファクトチェック記事の記載事項
 ファクトチェック記事を作成・発表するときは、以下の事項を満たすように努めるものとします。
 
 1 ファクトチェック記事であることの表示
 ファクトチェック記事を発表するときは、それが通常の記事と異なり、ファクトチェック記事として作成されたものである旨を表示するものとします。
 
 2 対象言説の特定
 (1) ファクトチェックの検証対象
 a. 原則として、客観的な証拠によって事実の存否や正確性を検証しうる「事実言明」とします。何ら事実言明を含まない意見表明や主張は、ファクトチェックの対象としないものとします。
 b. 検証の対象は、不特定多数者に公開され、社会に影響を与える可能性のある言説とします。
 
 (2) 対象言説の表記
 a. 対象言説は、できるだけ記事の冒頭において、その内容を必要な限度で引用するとともに、誰が、いつ、どこで、どのような文脈で発信したものかも、できるだけ具体的に記載するものとします。
 b. ただし、対象言説の発信者を誹謗中傷から保護する必要があるときは、発信者情報を匿名化・抽象化することも認められるものとします。
 c. 対象言説の内容について発信者自身が訂正・修正をしているときは、その旨を明記するものとします。
 
 (3) 対象言説が訂正された場合の追記
 ファクトチェック記事を公開した後に、対象言説の内容について訂正等がなされたときは、その旨を追記するものとします。
 
 3 事実認定と結論の明示
 検証の結果、どのような事実を認定し、どのような結論に至ったのか、対象言説の真実性・正確性についていかなる判定をしたのか、を明示するものとします。
 
 4 根拠・情報源の明示
 事実認定や結論・判定に至った理由について第三者が検証できるよう、客観的な証拠(エビデンス)・出典や情報源(ソース)をできるだけ具体的かつ詳細に記載するものとします。
 
 5 ファクトチェックと論評・解説の峻別
 (1) ファクトチェック記事は、できるだけファクトチェック(真偽の検証)に徹し、意見や論評、解説を混在させないようにします。
 
 (2) ただし、読者の理解を深めるために、ファクトチェック記事の中において解説等を盛り込むときは、私見はできるだけ抑え、必要以上に批判的、攻撃的、侮辱的な表現を用いないものとします。
 
 6 誤解を与えない見出し
 ファクトチェック記事につける見出しは、対象言説の内容や検証の結論について誤解を与えないように注意して付けるものとします。
 
 7 記事の公開日・作成者の明記
 ファクトチェック記事には、公開した日時と作成者(複数のメンバーが属する組織・媒体において発表するときは、当該記事の担当者名)を明記するものとします。
 
 8 訂正履歴の開示
 ファクトチェック記事の内容に重要な追記・修正・訂正などがあったときは、その履歴を読者が容易に認識できるように記載するものとします。
 
第4 ファクトチェックの透明性確保
 ファクトチェック記事を組織的、継続的に作成、発表するとき(期間を限定した活動を含む)は、できるだけその活動を始める前、もしくはその活動を初めてまもない段階で、独自のガイドラインと組織に関する情報を公開するなどして、ファクトチェック活動の透明性・信頼性向上に努めるものとします。
 
 1 独自のガイドライン
 ファクトチェックの指針として、以下の事項を含むガイドラインを定め、ファクトチェック記事を掲載するウェブサイトに公開します。
 (1) 目的・対象言説の範囲
 何のために、どのようなカテゴリーの言説(テーマ、ジャンル、発信源・媒体の種類など)を検証の対象とするのか
 (2) 選択基準
 どのような基準で対象言説を選択しているのか
 (3) 判定の基準
 対象言説の真実性・正確性を判定する際の基準、判定用語の種類
 
 2 組織に関する情報
 ファクトチェックを行う組織に関する情報として、以下の事項を公開します。
  ①ファクトチェック部門の責任者や担当者の名前
  ②組織の財源や使途
  ③組織の所在地や連絡先
 

以上

(ガイドライン委員会)

委 員  瀬川 至朗(早稲田大学政治経済学術院教授)
委 員  立岩 陽一郎 (認定NPO法人ニュースのタネ代表)
委 員  楊井 人文(弁護士、一般社団法人日本報道検証機構代表)
委 員  乾 健太郎(東北大学大学院情報科学研究科教授)
委 員  小川 和久(静岡県立大学特任教授)
委 員  奥村 信幸(武蔵大学社会学部教授)
委 員  金井 啓子(近畿大学総合社会学部教授)
委 員  John Middleton(一橋大学大学院法学研究科教授)
委 員  藤村 厚夫(スマートニュース株式会社フェロー)
委 員  牧野  洋(ジャーナリスト兼翻訳家)
委 員  山﨑  毅(​NPO法人食の安全と安心を科学する会(SFSS)理事長)